同じ時点での価格差に注目し、安いほうで買って高いほうで売ることを裁定といいます。要するに転売です。古本屋で安く手に入れた本をヤフオクで高く売るのも裁定です。先物取引を知っている方は裁定取引という言葉をご存知かもしれません。

さてこの裁定という考えを用いることにより損切りを決行するテクニックをご紹介します。 

塩漬け株となったA株、これが購入時は2400円で現在は600円だったとします。価値が四分の一に減ってしまい、とてもこんな価格では売れないから塩漬けするしかないと思うことでしょう。一方現在の価格が300円のB株があったとします。そしてA株購入時のB株の価格が3000円だったとします。整理すると以下のようになります。

A株 2400円 → 600円 価値が四分の一
B株 3000円 → 300円 価値が十分の一

A株購入時はB株を購入することができなかったのに、なんと現在ではA株を売ることでB株を2つ持てることになります。高いほうを売り、安いほうを買う。裁定とは特に金融市場では同じものでなくても類似性が高いもの同士であれば裁定と呼んだりします。A株とB株が同業の株であれば裁定ができるのです。

なぜでしょうか。それをレタスに例えてみたいと思います。レタスが異常に不作で価格が高騰したとします。欲しいけどちょっと手が出せない、そんなときは類似したキャベツを購入しようとしますよね。このようにモノが違う場合でも類似したものであれば一定の裁定が働くのです。

さて昔は高くて買えなかったB株が今ではA株を売れば2つも手に入るわけです。これはお得です。損切りできない方はA株の金額を忘れるようにして、A株とB株の交換レートだけを見るようにしましょう。A株を600円で売って、600円でB株を2つ買うのではありません。A株一つをB株二つに交換するのです。そうすればその昔6000円でB株を二つ買っていたのと同じ状態になるのです。