「損切り」行動経済学 ~ 人はなぜ損切りできないのか ~

損切りできないトレーダーへ送るブログです

人の心の中には財布がいくつもあります。使用したお金は別々の財布で管理されており、全体での管理はされていません。この観念のことをメンタルアカウンティングといいます。

1)住宅ローンと貯金は別、住宅ローンを払いつつ貯金も積み立てていきたい!
2)今日の損益と明日の損益は別、だから今日の損失はなんとかして今日中に取り返したい!
3)なかなか解消されない塩漬け株、それとほぼ同額で買える有望銘柄を見つけた!でも乗り換えれない。。

こんな思いをしたことはありませんか?

1のケースは全体で考えれば金利を考えれば貯金をするくらいならばローンの繰り上げ返済をいいはずです。ローンの金利と貯金の金利を比べれば圧倒的にローンの金利のほうが大きいのですから。でもなぜか別々に考えてしまう人がいるのです。

2のケースは日々の収益を別管理しています。今日損失を取り返そうが明日以降取り返そうが全体では同じなのですが、たとえ地合いが悪くても無理してでも今日中に損失を取り戻そうとする人がいます。

3のケースは全体でみれば明らかに乗り換えたほうがいいはずです。資金的にその塩漬け株を売らないと有望銘柄を買えない、でも売れない。上がる見通しはないけれどその株の損失はその株で取り返したい、せめて買値で売りたい。。

このようなメンタルアカウンティングによって人は不合理な行動を取って損失を出すのです。人はこのような思考に陥る傾向があるということを考えることで損を抑えることができるようになるかもしれません。
 

女性は別れた恋人の記憶をデリート(削除)し、男性は別れた恋人の記憶をフォルダに格納するとよくいわれます。

この違いは損切りしたポジションに対しても言えるでしょうか。

損切りした事をさらりと忘れて冷静でいられるか、忘れることができずなんとか取り返したいという気持ちに駆られるか。

はっきりとした統計データがあるわけではありませんが、 損切りしたポジションというのは恋人に似ている気がします。

高価なプレゼントを何度もしても振り向いてくれない彼女。今まで尽くしてきたお金と時間のことを思えば、ここで諦めてしまうわけにはいかない。。

悲しい男の性です。しかし行動経済学的にはこれは諦めるべき案件になります。

彼女に費やした費用は目的を果たしておらず、追加の投資をしたとしても果たせるとは思えません。これはもう回収できない費用(コスト)と捉えるべきです。このようにすでに払ってしまって戻ってこないお金のことをサンクコスト(埋没費用)といいます。sink-sunk-sunkのサンクです。サンクコストを引きずると損失を拡大させるだけです。人は損したくないという気持ちが大変強いのでサンクコストに執着しがちです。ですがサンクコストは忘れることが大切なのです。

投資でいえばすでに失ったお金や含み損がサンクコストになります。すでにお金を失っている場合はトレードに熱くなりなんとか損を取り返そうとします。含み損を抱えている場合はせめてプラマイ0になるまで持ち続けて祈ろうとします。しかしそれらはサンクコストなのでさっさと精算してしまったほうがいいのです。財務諸表で例えるならば特損を計上して次の会計年度を迎えたほうがいいのです。

ギャンブルではどうでしょうか。競馬で負けがこんでいると最終レースにドーンと大穴に大金をかけて取り戻そうとしがちです。とても出るとは思えないのに大金をつぎこんだパチンコ台から移動することができません。なんとかその台から引き出そうとしてしまいがちです。

公共事業だって同じです。途中で何か問題が発覚したり不要と判明しても、すでに走り出した公共事業は中止されません。止めるとそれまでに費やした費用が無駄になるといって押し通します。

このようにサンクコストに執着するとたいていの場合はその損を拡大させていく結果になるのです。 

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