「損切り」行動経済学 ~ 人はなぜ損切りできないのか ~

損切りできないトレーダーへ送るブログです

コイン投げで表、表、表、表、表と続くとさすがにそろそろ裏が出るだろうと思えてくる。表か裏かどちらが出るかは毎回独立事象なのにもかかわらずこのような心理に陥ることをギャンブラーの誤謬という。

値を下げている株を見るとそろそろ反転するだろうと思って逆張りで入ることがある。このバランス感覚こそがギャンブラーの誤謬である。逆張りといえばボリンジャーバンドであるが、これはまさにバランス感覚を視覚化したものである。しかし現実はそのバランス感覚の裏を突いてきて損をすることになる。

含み損を抱えてからもこの心理は続く。ここまで下げ続けたのだからそうろそろ上がるだろうという根拠なき予想を持とうとしてしまいがちだが、まさにギャンブラーの誤謬である。今まで連続で下げてきたことだけをもってして次の上げの根拠とするのは非論理的かつ不合理である。

人は選択肢が多くなればなるほど決定することができなくなる性質があり、これを決定麻痺と言います。

例えばテレビを買いに家電量販店に行ったとします。インチ数だけはだいたい決めておいたとしても結構な数のテレビがあるものです。そうなるとどれがいいのか比較するのが面倒になり、やっぱり今あるテレビのままでいいかという気持ちになって買うのをやめてしまうのです。

株式でも決定麻痺がおこります。投資初心者が株式投資をしようと思っても、まず銘柄の多さに圧倒されます。いったいどの株を見ていけばいいのか訳が分からず、そこが一つのハードルになってきます。一方そんな人たちにとってはFXはとっつきやすく感じるでしょう。FXも通貨ペアの数はそれなりにありますが、株の銘柄数ほどではありません。しかもドル円に圧倒的な存在感があるのでそんなに迷うこともありません。ドル円に決定できるのです。

損切りにおいても決定麻痺がおこります。いつ損切りするかの時間軸と、いくらで損切りするかの価格軸の二次元レベルで損切りの選択肢が存在するからです。いつまでにどのくらいの価格になったら損切りをするかという無限の選択肢の中で人はそれを決定することができず、損切りを諦めてしまいます。

ですのでこの決定麻痺の観点から言えばまず選択肢を減らすことが重要になってきます。 つまりは指値と逆指値をいれることによって二択に持ち込むのです。例えばドル円を100.00でロングしていて現在98.50まで落ちてきたとしましょう。そしたらいくらまで戻ったら損切りするかをまず決めて例えば指値98.8に入れます。次にいくらまで落ちたら損切りするかを決めて例えば98.2に逆指値を入れます。このように無限にある損切りの選択肢をまずは二択に追い込むのです。

でも本音を言えば指値と逆指値はポジションを取るのと同時に入れたほうがいいでしょう。そもそもポジションを取るときにどのタイミングで決済するかを決めていないから含み損を抱えるハメになるのです。決済タイミングは無限にあるのですから決定麻痺が起こるのは当たり前です。ですのでポジションを取る前にまずは指値と逆指値という二つの選択肢に絞っておきましょう。

商品の価格が高いほど、それを手に入れることで顕示性(他者へ見せびらかす効果)が高まることがあります。普通は安ければ安いほど売れるはずなのですが、例えばブランド品や化粧品は値段が安いと敬遠されがちです。むしろ値段が高いほど売れるのです。これをヴェブレン効果と言います。

高いほど買いたくなると言えば株もそうでしょう。どんどん値が上がっていく気がするのでちょっと高くても買いたくなってきます。しかし暴落してくるとどうでしょうか。めちゃくちゃ安くなってくると普通は怖くて手が出せません。このように株も高いと買いたくなり安いと買いたくなくなるのです。安く買って高く売らなければ株では儲からないのですが、心理的にはそうなってしまうので人はついつい塩漬け株を生み出してしまうのです。

さてこれもヴェブレン効果なのでしょうか?

値が上がってくると買いたくなってくるのはいいのですが、高く買った株を他人へ見せびらかしたいですか?「この株こんなにしたんだよ凄いでしょ」と自慢しようものなら「高値掴みしてバッカじゃねえの?」なんて思われることでしょう。顕示性が高まるようには思えません。

それなのになぜ人は株を高い値で買ってしまうのでしょうか。不思議なものです。 

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